ここは遠敷川のほとり、忠野。
少し山の方に歩くとお水送りで名を知られる鵜の瀬。
川沿いに足を運ぶと、風が、川の水音が、山の樹々のざわめきが、狭い空を横切る鳥たちが、この場処の尊いことを教えてくれる。
3月2日はお水送り当日。
その前夜、素敵な音楽会がwatotoで開かれることになりました。
この場処だからこそ、引き合わせてくれたお二人。
音をつむぐ人・内田輝
灯りを作る人・河合悠
湯布院で出遇った一枚のCD。
『after the rain』
大好きなcafe CREEKSさんにお勧めいただいたものです。
雨の日、雪の夜、静かに沁みゆくピアノの音に、ふと思考が止まる。
考えの洪水に飲まれるような日々の中で、ただ音を凝視する行為を与えてくれる。そんなアルバムでした。
演奏者も知らないままwatoto定番になっていました。
友人から突然のメール。
お水送りの頃に音楽会を開きませんかと。
なんとその演者が『after the rain』のピアニスト・内田輝さんでした。

なんという偶然。
しかも会場であるwatoto店内を、ろうそく作り人・河合悠さんが灯してくれはるそうです。

僕もろうそくとは切り離せない僧侶という勤めをしてきましたが、その力は偉大です。
ろうそくの灯りのみで朗々と拝読する巻物。
そこに忽然と現れる空間は時間を超越します。
物が見えすぎるくらい明るいのばかりが良いわけではない。
目を凝らし、耳を澄まして、初めて見えてくるもの、聞こえてくるものがあるのだと思う。
足すのではなく引くのです。
溢れんばかりにある無駄なものをズバッと切り捨て、大切なものに焦点を合わせる。そういう力がろうそくにはあるのです。
そして、揺らぐ炎は命を表現します。
命は電灯のように常に一定ではなく、揺らぐのです。
立ち昇る瞬間もあれば、くすぶりそうになる時もある。
そして、必ず燃え尽きるものです。
炎の灯りを観て、人の命を憶うのです。
きっとそうなんです。
3/1、どうぞお楽しみにお越しくださいませ。

〜山あいの静かな音楽会〜
内田輝 uchida akira(演奏) × 河合悠 Yu Kawai(作灯)
日 時: 3月1日(火)19:30〜
参加費: 3,000円
定 員: 30名
会 場: cafe watoto

お問合せ
cafe.watoto@gmail.com
0770-56-3893
profile
内田輝
音大卒業後、ピアノ調律を習得。ピアノ調律を通して音の本来に出会う為のWSを開催。その後14世紀の鍵盤楽器クラヴィーコードに出会う。現在、日本中を巡り演奏会とWSを行っている。
映像
piano & soprano sax
https://youtu.be/eaA5ynNLRaQ
quartet
https://vimeo.com/122943632
clavichord
https://youtu.be/QSIXSH99itA
yu kawai:
2003年より作灯を開始。
各地での個展やエキシビションを展開しながら、暮らしと灯のつながりをもとめて現在は岐阜県に在住。
灯りによって、多くの人たちと生きた場作りを続けています。