精進料理をいただくということは、食を通して深く生き直すということだと思います。これから深く生きようというのではなくて、私たちの命は元々深かったという事実を自覚せしめられるということです。深いというのは時間の長さです。この食材が此処にたどり着くまでに永遠の時間が必要でした。生きているということは「私のところまで脈々とつながって来た」ということだからです。お野菜にも、私自身にも言えることです。
そして、「生きる」ということは、同時に「殺す」ということでもあります。私の身体を作り成す成分を、同じ成分でできている「いのち」から摂取させていただく行為だからです。「いのち」はもともと矛盾を抱えているのです。
「いただきます」という言葉は、その意味において、懺悔の心の吐露です。
いただいた命への返礼は、私の人生を使命を持ってより深く、より自覚的に生きることだ言えないでしょうか。それは良いことだけをして生きようとすることではなく、常に罪を作るものを自分が所持しているということです。所持するというより、罪そのものと言った方が正しいかもしれません。つまり、目指すべきは、謙虚な心を忘れない生き方。
料理家・蓮溪邦枝氏のライブキッチンとトークのあと、蝋燭製作家・河合悠氏によるお荘厳の薄明かりの中で精進料理をいただく集いにて、そのことを共有する時間とさせていただきたいと存じます。
・12/8(土)
・ライブキッキン 18:00〜
・食事会 19:00〜
・5,500円(ドリンク、デザート、トーク付き)
プロフィール
蓮溪 邦枝。
滋賀県琵琶湖の北に28代続くお寺に嫁ぎ
家に伝わる行事料理、いわゆる「精進料理」の伝統を守り続けてきた。
大地の力をたっぷり纏った野菜たちの声に耳を澄ませ、
その中にある閃きやときめきを共鳴させながら料理を作る。
手を動かす中で次々と生まれる即興の自由なアイデアは
まるで音楽のジャムセッションのようであり、
クリエーターやアーティストから「ライヴ・キッチン」と称される。
そんな蓮溪 邦枝が送り出す、Nouvelle SHOJIN-新・精進料理。
「食べるを楽しむ」。
そんな季節のおもてなしを
テーブルコーディネートも含めてトータルデザインしている。
1973年2月5日生まれ。
祖母と母は画家。
ものづくりや空想の世界に浸る幼少期。
岡山出身の両親が転勤族だったことから
山口や広島に住んだこともあり、
瀬戸内の自然の中で、のびのびとした子ども時代を過ごす。
その後、文化学園大学で染色を専攻し美術と染色を学び
卒業の年の暮れに滋賀湖北のお寺に嫁ぐ。
2012年ごろから
お寺の文化継承の中で長年培った「精進料理」の知識と経験を活かし
料理教室の講師として活動を開始する。
現在は「お野菜とおしゃべりするフードスタイリスト」として、
出張ケータリングや飲食店メニュー開発などにも携わるなど、多岐に活躍。
2017年3月には初のフランス・パリでの出張ケータリングを行い、好評を得た。
2020年オリンピックイヤーには、
東京の寺院とコラボしたフードイベントに携わる。
滋賀・京都を拠点としながら、全国、そして海外にも活動の場を拡げている。
http://kuniehasutani.com/concept/
Yu Kawai(河合 悠)
2003年よりキャンドルの制作を始める。
灯りとのつながりを求め、各地での場作りを続ける。
陶芸家やガラス作家、金工作家とのコラボレーション作品の展開や各地でのワークショップ、個展のほかに、haruka nakamura PIANO ENSEMBLE、青木隼人 、ARAKI Shin 、Quentin Sirjacq、青葉市子、内田輝、森ゆに、高木正勝、土取利行など、多くのアーティストの舞台装飾を行っている。
HP:http://yukawai.jugem.jp/